少なくとも、『任検(検察官任用)』、『任官(裁判官任用)』の希望者は、『誰々は裁判修習教官に声をかけられ、飲んだそうじゃん。』『青田刈りかよ、あいつ決まりだな。』『俺パトカーで送ってもらって帰てきたぜ。』なかには、検察修習で、被疑者に対し、机を激しく叩いて、熱く、若輩者の人生観を語りだす者もいた。(当時、このような修習生を(検察)指導教官に、印象を良く評価されるためのものとして、効果測定合格などと揶揄した。)

私は30年後半であり兄貴的存在であったと思う。20代の修習生の愚痴のよき聞き手だったから、私より若年修習生とは仲が良く、特に年下男子修習生から人気があったと勝手ながら思っている。僭越ながら一言。私は早稲田大学で文学研究科応用言語修士学位を授与賜り、その後法学徒を目指し、法学を学んだので、司法浪人したわけではない。

 

旧司法試験は一回合格・当時最終合格は250名ほど) 町弁を決め込んでいた、しかも、当時の修習1年6月の、必ず1教室に、同年代の修習生を2人は同じ教室とのご配慮でありがたかった。対岸の火事であった。もう検察指導教官とも、同じ恩師のゼミのつながりで、『僕ら』の関係であったし、実は『修習生のための寮』があるのだが、『休日にどうされたの?』『飲もうよ』の勢いだったが、寮で『休日の修習生の監護』も指導検事(*副指導教官、ご優秀で、含蓄のあるお話ははずむが、同年代)の大切な仕事らしい。それでも、同期から、ねたまれなかった。(私は、先述したように、10年年下の修習生とも非常に仲は良かった、クラスは違ったがもと代ゼミ生もいた)

*『所付』と呼ばれるクラスの補助担任的地位。結構若い方が多い。

 

成績評価1回試験(司法試験)に並び2回試験(司法修習所卒業試験)は知られているが、修習の成績評価はあまり知られていない。『事実調査』 『法的分析』 『事実認定』 『表現能力』等様々な実務能力を認定する『成績評価』だが*旧司法試験の検察実務などは、机を激しくたたき、被疑者に若輩扱いされないように懸命になる。決裁(検察、裁判所の起訴・不起訴の決定、判決決定と起案、その他、担当法手続きの終了に関し、その内容、提案の事項を、上官の判断の裁可に委ねまた、仰ぐことをいう。遅れるのは赤字という)を早く処理し指導教官にアプローチ。優 良上 良 可 不可の成績評価。多忙な任検、任官者が、決裁を急がされ、独任権限範囲での捜査、調査がしづらい、上官の裁可に誘導される、日本の法曹人口の問題、組織の問題と『冤罪』とは無縁ではない。検察官の『一人の検察官として、その良心に従う余地』についての判例は『検察官同一体の原則』で触れた。

 

なお『決済(有価証券その他、債権・債務の売買差金引き渡し、受領等による売買取引また、投資信託の約款に従い、買い手の金員引き渡しの履行と売り手の金融商品引き渡しの履行の終了)』とは漢字が違う。

 

*旧司法試験合格者の場合、司法研修所において、2年(第52期 1998年4月修習開始)・1年6か月(第53期 1999年4月修習開始~第59期 2005年4月修習開始まで)・1年4か月(第60期 2006年4月修習開始)  『前期修習』『実務修習』『後期修習』に区分される。

 

最初の月の『前期修習』と最後の2月の後期修習は、埼玉県和光市(写真掲載)の司法研修所における『集合修習』で、『民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁護・刑事弁護』の5科目からなる座学、起案作成、からなる。司法修習生を担当する第二部教官は、実務経験の深い裁判官、検察官、弁護士が充てられる。各クラス(可能な限り同年代が2以上いる配慮は本当に感謝いたす次第である)各クラス、各教科につきそれぞれ1人の教官がいるため、教官総数は『クラス数×5』となる。その他、各教科につき、クラスを担当しない『所付』(教材作成やクラス教官補助を担当する教官で比較的若い実務家が登用されることが多い)が1名ずつ任命される。司法修習生の修習指導に関する必要事項は司法研修所所長が定め、修習の企画その他の重要事項を定めるには、所長を議長とする第二教官会議を経る。実施の具体的細目は、各科目教官が協議の上定める。

 

新60期(2006年11月修習開始)―新司法試験合格者対象の司法修習-1

新司法試験合格者の場合、「法科大学院において実務教育がなされている」とみなされ、修習期間は1年とされている。カリキュラムは、10ヶ月の実務修習、司法研修所における2か月の集合修習に分かれる。新60期については実務修習前に1か月の導入修習が司法研修所にておこなわれたが、新61期からはこの導入制度廃止。しかし、新68期からは1か月の導入修習が再度導入された。

 

実務修習では、全国の地方裁判所本庁所在地(63期からは東京地裁立川支部も修習地に加わった)に配属され、刑事裁判・民事裁判・弁護・検察・選択修習を2か月ずつ研修する。選択修習では、各人の関心に従い、専門性を深める。

 

『司法修習生指導要綱1章5 実務修習生及び集合修習の連帯』

司法研修所と、各配属庁の指導担当者とは、相互に緊密に連絡を取り、また司法修習の指導の在り方に関する協議会を開くこと等により、実務修習と、集合修習が相互により有機的に連帯するものとなるよう配慮する。

 

司法修習期間が、2年その後、1年6月の旧研修制度下では、指導教官との接する期間も長い。

二回試験を待つまでもなく、お声掛かりの修習生同士は、連携などそうはいかない。これ以上の言及は避ける。司法修習生は、最高裁判所に採用された*①国家公務員に準じ『守秘義務』があり、『修習専念義務』もある。『行状が品行を辱める行為』は『*②罷免』もある。

*①裁判所法661項  *②裁判所法68